咲さんの経験

  • 2018.05.06 Sunday
  • 11:15

  介護に思う               

「段差がありますからね、気をつけてね」とにこにこしながら、私は言う。

夫は、杖をつきながら慎重に歩いて行く。本人だって、転びたくはなかったのだから・・

 夫は、事故で1年前に入院。高次脳機能障害と、診断されました。入院中は治療のためとはいえ、犯罪者のように自由を拘束されていました。その姿は、見るのも辛いものでした。

 「家に帰る」と毎日繰り返すので、先の見通しもつかないまま、自宅に連れ帰りました。頭にも身体にも障害が残り、自宅に戻ってもトイレの場所さえわかりません。手すりもなく、気がつけば段差だらけ。それでも住み慣れた我が家に居ることの嬉しさからか、ベランダや庭に出ようとしました。

 

 退院の際に、看護師さんに「今度転んだら大変なことになりますからね、絶対転ばないようにしてください」と強く言われのが、頭から離れません。

私は常に、夫の体を支えて「行っちゃダメ・・」とか「危ない!」と大声を出していました。

二人一緒に何度転んだか事か、もう極限状態でした。途方にくれていた時「高次脳機能障害の介護の仕方」という本に出会い、むさぼるように読みました。

 

○患者がしたいようにさせてあげる事

○常に明るく、やさしく笑顔で接する事・・等

まさに『目からうろこ』でした。必死に介護するあまり、全く反対のことをしていた事を痛感しました。

 それから思いついて「トイレ」「おふろ」「はみがき、顔をあらう」と書いてドアに貼りました。すると夫はその貼り紙を理解してくれましたので、まず私がとても楽になりました。

 そんな小さな工夫から始まって、一方では常にケアマネさんや、ヘルパーさんに支えられながら、夫も穏やかになってきました。

 今ではデイケアに行き、リハビリに励み、足もどんどん強くなり、薬も減りました。認知症が改善するわけではありませんが、落ちついた日々を過ごしております。

 夫76才、私73才、将来のことを考えると不安で一杯ですが、今はこの瞬間を精一杯、より良く生きようと、それだけを思うようにしています。

 

           平成30413日     松井   咲

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